食道炎

食道炎はなんらかの要因により、食道に炎症性の変化（赤く腫れた、ただれた状態）が生じたもので、食道粘膜に深くはっきりとした傷が見られるようになると食道潰瘍と呼びます。

原因として最も頻度が高く、近年急増しているのは胃液の逆流によっておこる逆流性食道炎（胃食道逆流症）です。その他、内服した薬剤が食道内に留まることで発症する薬剤性食道炎、強酸や強アルカリなど腐食性薬剤の誤飲による腐食性食道炎があります。

また、感染症による食道炎（カンジダの感染によるカンジダ性食道炎、ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス感染によるウイルス性食道炎）では特徴的な食道潰瘍が認められます。悪性疾患に対する放射腺治療の副作用による放射線性食道炎もあります。

逆流性食道炎（胃食道逆流症）は胃酸を含んだ胃の内容物が食道内に逆流することで発症します。胸焼け（胃や胸の下あたりから上がってくる熱い感じ）、呑酸（どんさん、酸っぱい液体が口の中に戻ってくる感じ）でこれらが定型症状と呼ばれ、内視鏡検査で病的変化が見られない場合でもこの症状だけで診断がつくケースもあります。さらに咽頭部（のど）の違和感、せきや喘息に似た呼吸器症状、胸痛がみられることもあります。

暴飲暴食をやめ腹八分目を心掛ける、脂肪の多い食事、アルコール、香辛料などを控えめにする、ベルト、帯、ガードルなどお腹を締め付けるものの着用を避ける、前かがみの作業は逆流を起こしやすいので、できるだけ避ける、などの生活習慣での対応が必要です。

薬剤性は薬の内服に際して十分な水分を摂らない場合や、内服直後の就寝などにより、薬剤が食道内に停滞することが原因とされますので、お薬の内服時には十分注意しましょう。場合によっては原因薬剤の中止が必要になることもあります。

カンジダやウイルス性食道炎は免疫力の低下を背景に発症することが多いので、免疫抑制薬の使用時や免疫力が低下している場合は気を付けるようにしましょう。